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ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ
 ハイテク海洋動物学へ招待
   佐藤克文 著
   光文社新書(2007)


ペンギン好きなので、タイトルを見ただけで、速攻借りました(図書館で・・・)。買わんかいっ!っていうツッコミは平にご容赦を!


「バイオロギングサイエンス」という、全く新しい学問分野の、おそらくは黎明期にあたるであろう現在の、試行錯誤の試みを書いたこの本。海洋動物スキーにはオススメの本です。


陸上に生活する動物に比べ、海の中で生活する動物の生態を研究するのは難しいだろうな、ということは誰にでも想像できることだと思いますが、その現状は、私が想像する以上に進んでいなかったんだとびっくりしました。

ペンギンが400m程度まで潜ることは分かっていても、そこでどんな餌を食べているのかとか、アザラシは海中でどのようなルートを通って泳いでいるのかとか・・・、そんな話はものの本で読んだ記憶があるので、すっかり定説なんだと思っておりました。しかし、それらの話は水の性質や海水温度の調査結果から、「おそらくはこうなっているんだろう」と推定されていただけらしいです。へぇ~~。

で、海の中での動物の行動を、「データーロガー」と呼ばれる、小型カメラや体温計、加速度センサーなど・・を動物に取り付け、試行錯誤しながらも、ペンギンやアザラシの生態を調査する様子が書かれている、興味深い本です。


ただ、最初の2章までは、正直読むのが辛かった。
研究データが出てきたかと思うと、そこから導き出した結論で、教科書の間違いを指摘してみたり、また研究の話に戻って見たかと思うと、それは失敗だったから残念だったと急にまとめてみたり・・・一体この人は何を言いたいのか、イライラしながら読む羽目になりました。

それでもとにかく読んでみたのは、ペンギンの話が出てくるからで・・・

3章以降は、面白かったです(ただ、2章まで読んでおかないと、3章以降の話が?になっちゃうので、辛くても最初から読むしかないです)

研究のフィールドが国内から南極に移ります。
アザラシの採餌行動をカメラに収めようという試行錯誤の話があったり、ペンギンの群れの行動が驚くほどに同調が取れている話があったり、それらの話がすべてデータを基にして展開されるので、非常に分かりやすいし、安心して読むことが出来ました。
データーロガーなんて、小難しい機械を使って、ハイテク機械に囲まれた研究かと思いきや、ペンギンの識別には白髪染めを使っちゃうあたりは、夏休みの自由研究レベルの道具使いで笑えました。自分がお勤めしていた頃、実験が上手く行かないときは100円ショップをウロウロしていたのと、とても似ているような気がして。<一緒にしちゃ失礼なんですが!

本書の中では解決しなかった問題もたくさんありましたが、それはこの学問がこれからも多くの課題を残している証拠であって、まだまだ始まったばかりの分野らしい、みずみずしさもありました。

全編にわたって、「こんな研究8が居りゃ、簡単に終わりそうだよね・・・」って思いながら読んでいたのは、ヲタならでは。 海の中はまだまだ謎に満ちて、不思議な世界なんだと実感できる一冊でした。


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